玉川学園として約30年ぶりの快挙。11年生の柳田大我さんが、アメリカで開催される国際学生科学技術フェアに出場します。
2016年12月に行われた第60回日本学生科学賞において、11年生(当時10年生)でサイエンスクラブ所属の柳田大我さんが、科学技術振興機構賞を受賞しました。これはサイエンスクラブとしては初であり、玉川学園としても数十年ぶりの快挙です。
この結果を受けて、柳田さんは国際学生科学技術フェア(ISEF : International Science and Engineering Fair)に出場する15人の日本代表メンバーに選出されました。国際学生科学技術フェアとは、毎年5月にアメリカで開催される学生科学コンテスト。第1回大会が1950年開催と歴史があり、現在では75以上の国・地域から約1,700名の生徒が参加する世界最大の大会です。今回は、大会を直前に控えた柳田さんと、サイエンスクラブで指導を担当している田原剛二郎先生に話を聞きました。
今回、柳田さんが取り組んだ研究は「フィードバック制御の応用」というテーマです。「レゴⓇのマインドストームを使って、安定的にライントレースを行い走行するためのフィードバック制御について研究を行いました」といいます。従来の方法ではラインを読み取った後の挙動が非常にギクシャクとしたものだったのですが、柳田さんが研究開発を行った方法だと非常にスムーズに動きます。「これはエアコンが設定した温度に緩やかに近づけていく制御プログラムにヒントを得て製作しました。当時はまだ授業で習っていなかった微分・積分を独学で身につけて、さまざまな定数を使って最適なプログラムを発見しました」。
実は9年生まではロボット部に所属していた柳田さん。興味のあったロボカップという競技大会にサイエンスクラブからなら出場できると知り、10年生になった時点で転部しました。「ロボカップは単純な競技なのですが、掘り下げていくといくらでも工夫の余地があり、それが面白みです。またサイエンスクラブは、工学以外にも生物や化学など生徒それぞれが幅広い分野をテーマに研究活動を行っています。まったく違う分野の研究であっても、それが自分の研究に役立つこともあり、活動していても面白いです」と語ってくれました。転部して間もなく日本学生科学賞に応募し、科学技術振興機構賞を受賞。まさに1年目での快挙でした。そして今回の国際学生科学技術フェアへの参加が決まりました。
出場が決まってからは、東京工業大学や大阪大学の教授にもアドバイスをいただき、研究の精度を高めていきました。田原先生によると、「大阪大学の教授から、柳田さんの研究のいいところは、少ないセンサで制御を行う点だと評価をいただきました。しかし一個のセンサでは昼夜の明るさの差など環境の変化に対応しきれません。その部分をアドバイスに従ってセンサを二個にしたところ、走行の滑らかさが格段にアップしました」とのこと。また今大会では研究成果を展示パネルにまとめ、審査員の口頭試問を受けます。「当然英語で試問を受けることになるので、大会出場が決まってからIBクラスの先生の指導のもと英会話に懸命に取り組んでいます」と、玉川学園のリソースもしっかりと活用し、フェアに臨みます。
サイエンスクラブの活動を通して物理などの勉強が今まで以上に理解できるようになったと語る柳田さん。将来の夢について聞いてみると「今回ロボットからデータを収集して評価を行い、そうしたデータの処理をより詳細に行いたいと思うようになりました。そして専門的に行うデータサイエンティストという職種があることを知ったので、大学でさらに勉強して、そうした専門職に就きたいです」と目を輝かせながら話してくれました。
国際学生科学技術フェアは5月16日(火)からアメリカで開催。玉川学園としては約30年ぶりの出場であり多くの期待が集まっています。柳田さんがこれまで積み上げてきた研究成果を悔いなく発表し、素晴らしい経験を積んできてくれることを願ってやみません。