シンガポール国立大学の研修生が書道を体験しました。
6月6日(火)、リベラルアーツ学部の日本語研修プログラムのため来訪しているシンガポール国立大学の学生たち13名が日本文化に触れる研修の一環で書道体験を実施しました。
研修生たちは、リベラルアーツ学部の学生サポーターとともに会場となる実技実験棟に集まりました。学生サポーターとは、海外からの研修生と共に学んだり、見学の付添いをするだけでなく、歓送迎会や共同研究発表会、異文化交流イベントの企画・運営も行うボランティアの学生たちです。会場では先だって行われた歓迎会で研修生たちとも顔見知りになっているため、自然と会話が弾みます。そういったわきあいあいとした雰囲気の中で書道体験がスタートしました。まず、指導の真下教諭(玉川学園5-8年担当)の指示で墨をすり始めます。研修生たちは固形墨を手に持ち、見よう見まねで硯の中の水を混ぜながらすっていきました。硯を使った初めての体験。水とうまく混ぜ合わせていくのはなかなか難しい作業のようで、ボランティアの学生は手を添えながら少しずつ水を加えていくようにと、アドバイスしていました。
墨の準備が整ったところで、真下教諭の周りに集まりました。まずは、日本を表現する字の一つとして「和」を楷書・行書・草書・隷書(れいしょ)・篆書(てんしょ)の5つの書体で書くことにチャレンジします。少し難易度は高いものの、「書道は書き順も大切、二度書きはよくない」といった書道の基本を教わりながら、筆の走らせ方を注視し、お手本の文字が書き上がるたびに歓声が沸きました。
いよいよ、自席に戻って挑戦です。リベラルアーツ学部生が横で見守る中、お手本を見ながら、真剣に取り組む学生たち。とめ・はねなどに気をつけて丁寧に書く学生もいれば、すらすらと勢いで書く学生もいました。半紙で何枚も練習したのち、色紙に自分の気に入った書体で「和」の文字を書きました。その字の横には自分の名前を小筆で書きます。カタカナで書くことが多いのですが、中国名を持つ学生は、チャイニーズネームの漢字で名入れをしていました。
次に、自分の好きな漢字を書くことに挑戦。真下教諭がお手本を見せます。「鶴」「愛」など自身が気に入っている字を選ぶ学生もいれば、「七転八起」「起死回生」といった四字熟語の意味を知っていてぜひ書いてみたいと挑戦をする学生も。なかには自分のチャイニーズネームを書きたいと先生にお手本を頼む姿もありました。「武」「舞」を選んだ研修生は、自分が知っている漢字の中で一番難しい字を書くことを目的にと何度も繰り返し練習していました。
とても初めてとは思えない出来栄えに、リベラルアーツ学部生からも称賛の声が。実は研修生の中には幼少期中国で育った学生も多く、小学校の時に書道経験も少しあったというエピソードを教えてくれました。
学生サポーターたちは、墨の濃さの調整や半紙の追加などの支援はもちろんのこと、書き方のアドバイスをしたり、良い点を称賛したりとおもてなしの心で接していました。参加したリベラルアーツ学部生からは「みんな日本語も英語もとても上手なので、両方使いながらコミュニケーションをとることができた」「ボランティアとして支援しているうちに自分も書を書いてみたくなった」「中国で使われている漢字と日本で使われている漢字の違いを知ることができた」といった声が上がりました。
日本文化体験として行われた今回の書道体験。研修生にもリベラルアーツ学部生にとっても有意義な時間を過ごすことができました。