シンガポール国立大学の研修生がリベラルアーツ学部の学生の支援で、日本食作りおよび茶道を体験しました。
日本語短期研修のため玉川大学を来訪しているシンガポール国立大学(NUS)の学生たち。研修中盤の6月12日(月)には、日本食作りと茶道を体験しました。
日本食体験は、彼らが滞在している学園内の宿泊研修施設「梁山塾」で行われました。1階の広いリビングに用意されたたくさんのホットプレート。この日のメニューはたこ焼きといなり寿司、そしてお味噌汁です。何気なく選ばれたメニューのようですが、実は「信仰上の理由で、牛肉を食べることができない学生がいるかもしれない」といったことを考慮し、リベラルアーツ学部の学生たちが慎重にメニューを考えた結果とのこと。また、いなり寿司作りの過程で寿司飯を油揚げに詰める際には、ビニールの手袋を使用。衛生面はもちろんのこと、これも食材に素手で触れないほうがいいといった宗教への配慮からです。NUSの学生に対する気遣いが、こうしたさまざまな部分から感じられます。
調理中に学生同士で交わす会話の中で「自宅で料理をすることはほとんどありません。自宅にはメイドさんがいるから」というNUSの学生の発言に驚く玉川大学の学生たち。シンガポールにおいてメイドを雇う家庭は珍しくないのだとか。
一方、シンガポールで日本食を食べる機会は多く、NUSの多くの学生はさまざまな日本食を食べているそうです。「豚骨ラーメンが好き」と具体的に好きな日本食を挙げている声に、リベラルアーツ学部の学生は驚いていました。
さて肝心の日本食作り体験ですが、リベラルアーツ学部生のアドバイスのもと、NUSの学生たちは慎重にねぎやタコをみじん切りにしたり、酢飯をていねいに油揚げに詰めていきました。見たり食べたりしたことがあるということで、「大好きです」と言うNUS生も。たくさんのホットプレートを用意したものの、電気の容量を超えてしまい2台しか使えないといった想定外のアクシデントもありましたが、12時過ぎにはどのメニューも無事完成。皆でテーブルを囲みながら、楽しくいただきました。
午後には咸宜園にて茶道体験が行われました。NUSの学生とリベラルアーツ学部生、そして茶道部の学生が交互に座り、抹茶とお茶菓子を楽しみました。
海外の人たちの間で抹茶は非常に人気が高く、抹茶味のお菓子は日本観光のお土産の定番となっているためか、抹茶を"苦い"と感じる学生は少なかったようでした。一方で茶道におけるさまざまな所作や、懐紙や楊枝などの扱いについては多くの学生が興味を持ったようです。
参加したNUSの学生の一人は「以前から日本語と同時に日本文化について学んできましたが、今回初めて茶道を体験することができました。礼に始まり礼に終わる、日本の礼儀作法にも触れられて嬉しかったです」と語ってくれました。
また、今回NUSの学生をもてなした茶道部の主将は「茶道など『道』の付くものは礼節を重んじます。NUSの学生にもそれらに触れてもらうと同時に、思い出に残るような内容にしたい」と話しました。
日本食作りも茶道体験も、リベラルアーツ学部の学生が積極的に参加し、企画の段階から取り組んでいる点が特徴です。NUSの学生たちは日本語を学ぶ過程で実際に日本の学生がどんな生活を送っているのか、どんな日本語表現を用いているのかを知るために今回の語学研修プログラムに参加しています。そしてリベラルアーツ学部の学生も、どんな日本語表現であれば海外の人たちに通じるのかを肌で感じることができます。日本語短期研修はNUS、玉川大学の双方の学生にとって大きな学びの機会になっています。