「笑える! 政治教育ショー」と題された英語教育学科の一年次セミナー。お笑い芸人が授業を担当しました。
玉川大学では4年間の学生生活を有意義なものにするため、全学部で初年度に「一年次セミナー」を開講しています。これは入学して間もない新入生たちが、学修習慣や大人としての健全な生活習慣を身につけるために行っているもので、玉川教育の特色の一つといえます。学部ごとにさまざまなカリキュラムを取り入れていますが、文学部英語教育学科では本年度の一年次セミナーを利用して、5月23日(水)に主権者教育についての講演およびワークショップを開催。登壇したのはお笑い芸人の「三拍子」です。この講演は三拍子が参加している株式会社笑下村塾によるコンテンツ、「笑える! 政治教育ショー」として行われるもの。笑下村塾ではこうした出張授業を全国各地の高校や大学などで行っており、年間約1万人が観賞しているそうです。
お笑い芸人による授業ということで、始まる前から興味津々の学生たち。そんな中、「三拍子」の高倉陵さんと久保孝真さんが登場し、大きな拍手が沸き起こりました。三拍子は「M-1グランプリ」や「爆笑オンエアバトル」でも実績を残してきたお笑いコンビ。この日も登場するやいなや、そのトークで学生たちの気持ちをつかみます。
この日のテーマは主権者教育。公職選挙法が改正され、2016年に選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられ、この日出席した学生の多くも、18歳で選挙権を得た世代です。ただ、中学や高校で政治について学んだものの、誰に投票すればいいのか、そもそも何故投票するのかが曖昧な学生がいるかもしれません。そこで三拍子の二人は民主主義とはどういうものなのか、若者が投票しないことで政策が高齢者寄りになる理由などを分かりやすく、笑いを交えながら説明していきました。
また、学生が5名程度のグループに分かれ、各年代が選挙についてどう感じるかを討論したり、若者に人気の人狼ゲーム形式で「悪い政治家」役の学生を探すといったゲームにも挑戦。教室中から大きな笑い声と真剣に意見交換する声が聞こえてきました。
学生たちがこれらを通して学んだことは、「いろいろな人の意見に左右されず、自分の考えをもって投票することの大切さ」です。「皆さんが今日やった人狼ゲームでは、正体を明かさずに悪い意見を吹き込む秘書役がいましたよね。実社会では、場合によってはメディア等がこの秘書役になるかもしれません。インターネットが発達した現代なら、多くの情報を収集した上で、自分なりの考えを決めることもできますよね」という三拍子の久保さんの話に、学生たちも納得した様子。「今日の話を聞いて、選挙の際には投票に行こうと思うようになった人はいますか?」という問いに、多くの学生が手を挙げていました。
この日の授業に参加した学生にも感想を聞いてみました。
「最初は何でゲームをやるんだろうと思いましたが、体験してみるといろんな意見を聞くことができ、とてもためになりました。みんなが発言するプロセスがあり、意見を引き出すのにいい方法だと思います。また若い世代がもっと政治や選挙に関心を持たなければならない理由がわかり、改めて投票の大切さを認識しました」と語るのは藤田理寛さん。また「三拍子の二人の、人を惹き付ける話術に驚かされました。この学科には教員志望の学生が多いのですが、授業を行う側になった際には、時には笑いも交えたほうがいいと感じました」という原田龍一さんのように、英語教育学科の学生ならではの感想も聞くことができました。
主権者教育についてお笑い芸人から学ぶという、これまでにない授業になった今回の一年次セミナー。「笑える! 政治教育ショー」というタイトルの通り、楽しみながら政治についての理解が深まる内容でした。入学直後にこうした「気付き」を得られたことは、これからの学生生活において学びが広がるきっかけになったのではないでしょうか。