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玉川大学・玉川学園学友会寄附講座[リベラルアーツ学部] 国権の最高機関のトップ・大島理森衆議院議長による特別講演「日本の政治と日本人について〜平成の時代とこれからの課題〜」を開催

2019.01.24

玉川大学・玉川学園の卒業生によって構成される学友会が企画・開催する「学友会寄附講座」。新しい年が明けたばかりの1月10日、大島理森衆議院議長をお迎えし、リベラルアーツ学部1年生対象の「日本の政治と日本人について~平成の時代とこれからの課題~」と題した特別講演を開催。国権の最高機関のトップによる学生向けの講演はきわめて異例のことで、会場には多くのマスコミ関係者も詰めかけました。

リベラルアーツ学部 平林壮郎准教授の司会で始まった特別講演。大島理森議長がにこやかな表情で登壇すると会場から大きな拍手が送られました。

大島議長は1946年青森県八戸市生まれ。父と叔父が政治家という環境で育ちましたが「若い頃は政治家になるのはいやだった。鉄道員になりたかった」とご自身の生い立ちから語り始めました。戦後世代として高度成長期に青春期を過ごし、エルビス・プレスリーやアイビーファッションなどの米国文化へ憧れる反面、泥沼化するベトナム戦争に複雑な思いを抱く……そうした社会の動きを見ているうちに「社会の仕組みそのものに参画し、自分の思いをぶつけたい」という政治への思いが自ずと生まれてきたそうです。

「今年は選挙の年。みなさんの1票によって国の政治を変えることができます」と話す大島議長は、「日本国憲法が制定されてから70年以上が経過し、日本国民一人ひとりが憲法をどのように考えるかを問われています」と昨今の憲法改正論議についても言及。「憲法は国家のすべての基礎となる法律で、普通の法律とは違う。国民の議論の中で多くの合意をつくりながら改正への道のりを歩まなければいけない。選挙権をもつみなさんもぜひ憲法をしっかりと読んでください」と呼びかけました。
また、政治・経済ともに重要な局面にあるにもかかわらず、現在のわが国の政治状況は「政党の変化が多すぎる。そのため政党に対する国民の信頼が著しく低下している。これは民主主義の危機ではないか」と与党に対して真っ向から対峙できる野党の奮起を促しました。

続いて大島議長は、大学1年生が生まれた2000年前後から1990年代を振り返ります。2000年当時は小渕恵三首相が政権の座にあり、欧州ではEUの共通通貨ユーロが誕生したばかりでした。1990年代は日本では昭和から平成となり、「日本のうぬぼれ」(大島議長)がもたらした「バブル崩壊」によって膨大な国内資産が失われ、そのまま国際的な通貨戦争の渦中に突入していきました。
一方でベルリンの壁が崩壊し、ソ連・東欧の社会主義諸国が解体、さらにイラクのクウェート侵攻に端を発した湾岸戦争勃発と世界が大きく揺れ動いた時代でもありました。その最中で日本は経済貢献だけではない国際社会への貢献を求められるようにもなり、国内で憲法9条と自衛隊の海外派遣の問題がクローズアップされ、それは現在の憲法改正論議にもつながっています。
また、1990年代以降、わが国は何度も大きな自然災害によって甚大な被害を被りました。阪神淡路大震災(1995年)と東日本大震災(2011年)の大きな地震のほか、2016年の熊本地震や2018年の西日本豪雨による被害も記憶に新しいところです。

大島議長は1990年代から2000年代にかけて、さまざまな苦難を乗り越えてなぜ日本人は今も生き残っているのか?という問いに日本人の根底にある3つの「力」の存在があると話します。
まず、つねに「改善」しようとする力。これはものづくり=技術立国日本を支えてきた力でもあります。次に秩序正しく力を合わせて「復興」する力。これは敗戦や2度の震災から日本が立ち直ってきた原動力であり、世界から賞賛される美徳でもあります。そして最後に生きることに「道」を見出す力。近年、原作の小説版(1937年)と漫画版(2017年)がともにベストセラーとなった吉野源三郎『君たちはどう生きるか』に見られるように、つねに生きることの意味を問う文化が日本人の教養のベースであり、玉川学園創立者小原國芳の「真・善・美・聖・健・富」という6つの価値の創造を目指した教育もそこにつながっていると会場の学生たちに語りかけました。

講演後、会場の学生から大島議長に国政に関する多くの質問が寄せられました。中には「政治家として苦手な人とはどう付き合うのか?」「なぜ店内全面禁煙に反対するのか?」など難しい質問もありましたが、時間ギリギリまで率直かつ丁寧に回答する大島議長の姿は、学生たちにメディアを通してしか知ることができなかった政治家の生の姿を強く印象づけたようでした。

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