町田市内の小・中学生を招いてフラッグアート教室が行われました
本学では2009(平成21)年から、地域の教育活動の一つであるフラッグアート教室を実施しています。この教室は芸術学部の先生方と学生有志が参加し、小・中学生にフラッグアートを体験してもらうことを目的としているものです。フラッグアートとは、主に公共スペースを活用し、旗のような形状の布をキャンバスにして表現を行い、社会の中に溶け込む芸術活動でもあります。
フラッグアート教室は地域の町内会や商店会の方の協力のもとスタートし、5年にわたって行われてきました。今では地域の方々にも馴染みのある季節の風物詩となっています。この企画がスタートした時は、本学の先生と学生が近隣の中学校に出向いて指導を行っていましたが、徐々に小学校の図工の先生の協力も得て、現在は授業の一環としても取り組むようになりました。そして今年度初めて近隣の小・中学生を玉川大学のキャンパスに招き、フラッグアート教室を行う運びとなりました。8月1日(金)に行われたフラッグアート教室には町田市立町田第五小学校、南大谷小学校、南大谷中学校の児童・生徒とその保護者、合わせて116名が参加しました。本学からは芸術学部の学生18名が参加し、本学の学生1名に対して中学生1名、そして複数名の小学生で1グループとなり、フラッグ制作に挑戦しました。
今年のテーマは「ボクたちの夏」。テキスタイルの伝統技法でもある絞り染めの手法を用いて、それぞれがイメージする夏の情景を形にしました。初めて絵筆を使って自由に描くため、最初はイメージを形にできず戸惑っている小学生たちもみられましたが、中心となる学生が的確なアドバイスを行い、中学生と協力しながら自分たちのイメージを形にしていきました。「アイディア」を下書きし、絵の具で着色して乾燥させ完成ですが、自分たちの班のフラッグが仕上がっても帰ろうとせず、他に参加した小学校の児童たちと教室内で話したり遊んだりしている姿が非常に印象的でした。保護者の方からも「子供だけ、大人だけといったワークショップは多いのですが、今回のように小・中学生と大学生が協力して取り組みながら、保護者も参加できるワークショップはなかなかありません。子供の成長の面からも、非常に有意義ですね」といった意見が聞かれました。また見学に訪れた町田市役所の方からも「非常に質の高い地域活動である」といった評価をいただきました。この教室を担当する芸術学部の中島千絵准教授は、「玉川学園は駅名や地名にも使われていますが、地域の皆さん、特に近隣の小・中学生にキャンパスに来てもらって何かアクティビティをする機会がまだまだ少ないのかもしれません。今後はこういう機会をもっと設けていきたいですね」と話します。
またこのフラッグアート教室は、地域貢献だけでなく、本学の学生にとっても非常に意義のある行事といえます。昨年までは本学の学生が直接小・中学校を訪れて指導していたこともあり、南大谷中学校の校長先生から「フラッグアートで指導する学生に、週に一日、インターンシップで中学校に来てもらい、その後の教育実習も本校で行ってもらったらどうか」といったお話をいただくこともできました。その結果、これまでに2名の学生が南大谷中学校で多くの学ぶ機会を得ています。このようにインターンシップと教育実習を経験した4年生が、フラッグアート教室運営の中心的役割を果たすといった流れが、ここ数年出来上がっています。
今回の活動で見られる学生の前向きな姿勢の根底にあるのが、「芸術を社会に活かす」という芸術学部独自のミッションです。アーティストの育成にとどまらず、その感性を自ら発信したり、他者の持つ感性を引き出すことを重視した指導が、芸術学部の特徴となっています。正規の授業や学外プロジェクトなど、さまざまな形でワークショップを行う機会が多く、学生の中にもそれが自然と体現できるという意識が定着しています。今回のフラッグアート教室でも、画材に小・中学生が普段使わない蓄光塗料を使うなど、随所に学生が追求した「アイディア」が反映されています。「教員を志望する学生はもちろん、社会の中でアート活動を行っていきたいという学生にとっても、成長する機会が多い学部だと思います」と、芸術学部の高橋愛助教は語ります。6年目を迎えたフラッグアート教室、今後の取り組みにもどうぞご期待ください。