米国コロンビア大学で雅楽と邦楽を学ぶ学生代表によるワークショップがありました
玉川大学では創立以来、国際教育を推進して多くの留学生・研修生を海外に送り出し、また提携先からの留学生や研修生を受け入れ、活発な国際交流を実践してきました。現在では世界で20を超える大学や教育機関と提携し、本学国際教育センターの支援のもとで留学・研修プログラムを展開しています。6月11日(木)、2014年度より新たにSAEプログラムに加わったアメリカの名門大学であるコロンビア大学から雅楽・邦楽を学ぶ学生が来日。海外留学をした本学学生が日本文化を再認識する機会とすることを目的に、日本語と英語によるワークショップが器楽教室で開催されました。
今回来日したのは、コロンビア大学名誉教授であり同大中世日本研究所で所長を務めるバーバラ・ルーシュさんと、彼女が同大でスタートさせた「雅楽・邦楽プログラム」に所属するリッシュ・リンズィーさん、清水チャートリーさんです。ルーシュ所長は1999年に天皇陛下より勲三等宝冠章を授与されており、雅楽・邦楽の演奏家を育てようと、2006年から「雅楽・邦楽プログラム」をスタートさせました。
今回のワークショップは、「Gagaku: Yesterday, Today, and Tomorrow」をテーマに、雅楽の歴史、楽器の解説が行われました。会場となった器楽教室には本学学生などが大勢集まり、立ち見も出るほどでした。最初にルーシュ所長より雅楽の魅力についての説明がありました。平安時代の遊び心あふれる音楽は、近代の日本全体が西洋志向により、雅楽・邦楽の和楽器の使用を禁じられる受難の時代を乗り越え、21世紀に入り世界的な注目を集めるようになったと言います。それは、音色、旋律、リズムが優雅であり、世界中でも類のない楽器と高い評価を受けているからです。ルーシュ所長が手がける「雅楽・邦楽プログラム」には、世界の国々から集まる留学生が受講を希望するそうです。「さまざまな国の学生が一緒に演奏している様子を見ると、心が温かくなります」と話していました。
次に『龍笛(りゅうてき)』を担当するリッシュ・リンズィーさんと、『笙(しょう)』を担当する清水チャートリーさんへバトンタッチをして、雅楽の今昔と楽器の解説がありました。リンズィーさんはフルートやピッコロを教えるプロ。『龍笛』との出会いは偶然だったそうですが、「とても人間的な楽器に魅せられた」と話していました。日本文化を見直そうとする動きは、日本の学校教育の音楽の授業にも表れていますが、雅楽に使う楽器を演奏できる教員が限られていること、楽器を所有する学校が少ないことなど、さまざまな要因があることを、改めて知らされました。
また清水さんは日本に生まれ、音楽大学で雅楽を学んだ経験があり、現代音楽に雅楽の要素を取り入れた曲を作り、ライブなどで積極的に発表しています。「雅楽のすばらしさを世界中に、また日本人に広く知ってほしい」と語ってくれました。
リンズィーさんと清水さんは動画投稿サイト“You Tube”に掲載されている雅楽の演奏の音色を参加者に聴かせてくれたり、『龍笛』を参加者に触れさせてくださり、雅楽の魅力を伝えようとする熱い思いが伝わってきました。参加した本学学生は、「箏曲部で三味線を弾いているが、雅楽と邦楽の違いに興味をひかれた。ぜひ他の和楽器にもチャレンジしてみたい」「日本の古典音楽が世界で注目され、現代の西洋音楽に取り入れられている理由が分かり、もっと知りたくなった」と感想を話してくれました。
今回のワークショップを通して、国際交流によってもたらされた、日本の文化のすばらしさを参加者全員が改めて感じることができる機会となりました。