工学研究科
工学研究科概要
専攻と研究分野
工学研究科は、修士課程の2専攻と博士課程後期の1専攻を通じて工学に関する教育研究活動を展開しています。
修士課程には機械工学専攻と電子情報工学専攻があります。機械工学専攻では材料加工システム分野、環境エネルギー分野、経営システム分野からなる生産開発コースを、電子情報工学専攻では、量子情報コース、システム情報学コース、ロボティクスコース、情報セキュリティコースを提供しています。修士課程を修了すると、「修士(工学)」の学位が授与されます。
博士課程後期では、修士課程の教育研究分野をさらに高度化したシステム科学専攻があります。主な研究分野として、量子情報科学、知能情報科学、ロボティクス、生産開発システム、環境エネルギーがあります。博士課程後期を修了すると「博士(工学)」の学位が授与されます。
教育課程の特色
- バランスのよいコース設計:専門知識は分野やコース毎にデザインされた一群の科目を履修することで、バランスよく修めることができます。
- 専攻を越えた履修も可能(修士課程):修士課程では自身が所属していない専攻や玉川大学大学院の他研究科での開講科目も所定の手続きのうえ履修できます。このようにして修得した単位は修了要件単位に含めることが可能です。詳しくは大学院要覧をご覧ください。
- 教育職員免許状(専修免許状)の取得も可能:機械工学専攻では、条件※を満たしながら必要な単位を修得することで、高等学校教諭専修免許状(工業)を取得できます。電子情報工学専攻では同様に、中学校教諭専修免許状(数学)、高等学校教諭専修免許状(数学)、高等学校教諭専修免許状(工業)を取得できます。詳しくは左項目「教員免許(専修)・資格」をご覧ください。
- 条件は取得希望の専修免許状の基礎となる1種免許状をすでに取得しているか、取得見込みであることです。
人材養成等教育研究に係る目的
工学研究科は、工学の視点に立ち、人類が抱えている諸問題を克服し、知識基盤社会を多様に支えることのできる高度な専門性と豊かな人間性、社会性、グローバルな視野を備えた研究者・技術者・教育者を育成することを目的としています。
修士課程においては、学部で培われた基礎知識と学力を基礎に、機械工学専攻では材料加工システム・環境エネルギー・経営システムの各分野について、また、電子情報工学専攻では、量子情報・システム情報学・ロボティクス・情報セキュリティの各分野について、幅広く深い学識の涵養を図り、研究能力またはこれに加えて高度の専門的な職業(中学校・高等学校の教員を含む)を担うための優れた能力を培う教育研究を展開します。
また、博士課程後期においては、修士課程の教育研究分野をさらに高度化したシステム科学専攻の各分野(量子情報科学・知能情報科学・ロボティクス・生産開発システム・環境エネルギー)について、研究者として自立して研究活動を行うことができる高い専門性が求められます。社会で活躍し得る高度な研究能力とその基礎となる学識を養う教育研究を展開します。システム科学専攻では、学生が修了後の進路を踏まえたうえで、各自の興味と関心に応じた体系的な学修のための科目履修が可能となるような教育プログラムを編成・実践し、きめ細やかな履修指導のもと、学位授与へと導きます。
ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)
人材育成等教育研究に係る目的のもと、工学研究科の提供するカリキュラムにおいて所定の単位を修得し、かつ学位論文の審査および最終試験に合格した者に対して、修士課程では「修士(工学)」の学位を、博士課程後期では「博士(工学)」の学位を授与する。修了者は、知識・理解、汎用的技能、態度・指向性からなる下記のような学修成果を身に付けていることが期待される。
■修士課程(機械工学専攻・電子情報工学専攻)
【a.知識・理解】
- 工学が担う社会的意義と目的を理解している。教員をめざす者は、学校教育が担う社会的意義と目的、ならびに数学もしくは工業に関する中等教育が担う社会的意義と目的を理解している。
- 講義科目と演習科目の単位修得を通じて体系的な専門知識を獲得している。関連する文献を正確に読むことができる。教員をめざす者は、獲得した知識を科目指導と教材開発に活用できる。
- 修士論文に関係する先行研究の内容を理解しており、自身の研究成果の新しい側面を説明できる。
【b.汎用的技能】
- 論理的思考ができ、思考の過程を説明できる。教員をめざす者は、論理的思考の基礎を生徒に指導できる。
- 批判的思考により新しい問題を発見できる。教員をめざす者は、数学教育での探究学習または工業教育での課題研究でのテーマ設定に際して、生徒に助言できる。
- 実験、シミュレーション、数理解析等を用いて科学的または技術的な知見を見出すことができる。教員をめざす者は、初歩的な手法を生徒に指導できる。
- 問題設定から解決策までを文章として書くことができ、定められた時間でプレゼンテーションができる。教員をめざす者は、場面に応じた表現方法を生徒に指導できる。
【c.態度・志向性】
- 在学中に不正のない研究活動を行った経験を活かし、今後も不正のない行動をとることができる。
- 他者を助け、自らを助けることができる。問題解決に向けて周囲と円滑なコミュニケーションをとることができる。国内外の出来事や動向に関心をもち、技術者、研究者または教育者としての責任を心に留めて、社会の発展に関与できる。
- より高度な専門知識を獲得すること、より新しい専門知識へと更新することに対する努力を継続できる。ことばを大切にし、より豊かな言語表現を求める努力を継続できる。
■博士課程後期(システム科学専攻)
【a.知識・理解】
- 工学が担う社会的意義と目的を高いレベルで理解している。
- 講義科目と演習科目の単位修得を通じて体系的な専門知識を獲得している。関連する文献を日本語、英語問わずに、正確に読むことができる。
- 博士論文に関係する先行研究の内容を理解しており、自身の研究成果の新しい側面を説明できる。
【b.汎用的技能】
- 論理的思考ができ、思考の過程を説明できる。論理の検証を自ら行うことができる。
- 批判的思考により新しい問題を発見できる。問題を解決または議論することの意義を説明できる。
- 実験、シミュレーション、数理解析等を用いて科学的または技術的な知見を見出すことができる。同じ結果を再現するための条件等を明確に説明できる。
- 問題設定から解決策までを文章として書くことができ、定められた時間でプレゼンテーションができる。日本語、英語問わず、論文を書くことができ、学会で発表できる。
【c.態度・志向性】
- 在学中に不正のない研究活動を行った経験を活かし、今後も不正のない行動をとることができる。
- 他者を助け、自らを助けることができる。問題解決に向けて周囲と円滑なコミュニケーションをとることができる。国内外の出来事や動向に関心をもち、技術者、研究者または教育者としての責任を心に留めて、社会の発展に関与できる。
- より高度な専門知識を獲得すること、より新しい専門知識へと更新することに対する努力を継続できる。ことばを大切にし、より豊かな言語表現を求める努力を継続できる。
カリキュラム・ポリシー(教育課程編成の方針)
修士課程においては、学部で修得した基礎学力・基礎知識・倫理観を確実に身に付けさせ、さらに発展させることで、各分野による人材育成を行います。
機械工学専攻には材料加工システム、環境エネルギー、経営システムの3分野、電子情報工学専攻には、量子情報、システム情報学、ロボティクス、情報セキュリティの4分野を配置し、各分野で教育課程の単位を取得することで、その分野に必要な基礎知識と実践能力が一通り身に付くコースワーク科目群を用意しています。
特に,学生自らが進捗管理をしながら統合的な技術の獲得を目指す科目を必修科目群のなかに設けるほか、英語力の強化を目指した科目も提供します。必修となっている修士論文のための研究をとおして、研究活動の基本を学びます。
また、機械工学専攻および電子情報工学専攻では高等学校教諭専修免許状(工業)、電子情報工学専攻ではそれに加えて中学校・高等学校教諭専修免許状(数学)の課程を設置します。これらの課程では、教職に関する科目を必修とすることで、専門知識だけでなく教育能力の向上も支援します。
博士課程後期では、研究能力の涵養のため、研究調査,研究企画,分析方法,論文構成法などの研究要素技能の訓練を行う科目のほか、それらを統合してより高度な議論を行う訓練としてのセミナー科目を用意しています。
これらに加えて、研究倫理講習や先進的な内容の特別講義を通じて、知識領域を新たに開拓するための研究方法を学ぶことができます。
アドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)
大学4年間での学修をとおして得られる基礎力は、本研究科でより進んだ学修と研究を行うための基盤です。
修士課程では、技術者として問題解決にあたる際の不可欠な手段となる日本語や英語などのコミュニケーションの基礎力が必要です。そのため入学試験では、各専攻において基盤となる科目および英語についての口述試験を行い、知識およびコミュニケーション能力を確認のうえ判定します。 なお、数学は数学検定準1級程度の能力を求めます。
博士課程後期では、先端研究を遂行するに必要な学力や語学力が必要ですが、それと同時に新たな知識を開拓する気概が求められます。 よって、入学試験では、専門知識・語学力と同時に口述試験で研究遂行に必要な主体性を評価します。
教育研究活動の特色
- 丁寧な研究指導:すべての学生は指導担当教員の運営する研究室に席を置き、能力や個性に応じたきめ細やかな研究指導を受けられます。
- 教員自身の資質向上に向けた活動:履修者からの履修科目の改善に向けた意見を聞くために無記名のアンケートを実施して、教授法や説明内容をより良くすることに役立てています。この他にも教育ならびに研究に関しての教員の意識や技能の改善に向けた研修会を行うなどして、教員の資質向上にも務めています。
- 研究不正をしない研究者へと導く活動:捏造、改ざん、盗用、その他の不正行為を未然に防ぐために、研究者倫理に関する研修を実施しています。
- 教育研究交流の機会提供:国内外の大学・研究機関や企業との共同研究のほか、本学併設の研究所群との密接な連携によって教育研究交流を積極的に展開しています。
- 英語力強化のための活動:国際会議で自身の研究成果を英語で発表する学生もいます。英語で論文を書く学生もいます。海外留学する学生もいます。このようなことから英語力の向上のため、TOEICの受験を支援しています。
- 研究促進と他者への説明能力向上に向けた活動:学位論文に向けた研究の進展を促し、またプレゼンテーション能力向上のために、修士課程1年生、博士課程1年生と2年生を対象に、研究成果の中間発表会を開催しています。これは研究指導教員以外の教員の指導を受ける機会ともなります。
- 問題解決のためのプランニングと工程管理を実践する科目:修士課程の工学演習Aは学生自身が課題を設定・実践し、習得した知識と経験を発表するプログラムとなっています。
- 視野を広げるための科目:最先端の研究開発に携わる研究者・技術者などから直接に話を聞く機会を提供するために、国内外の様々な分野から講師を招聘して「特別講義A・B」を実施しています。
給付型の奨学金、旅費助成、そして就職
- 玉川学園・玉川大学が提供する給付型の奨学金制度:玉川学園・玉川大学が提供する奨学金制度は返済義務のない、給付型の奨学金制度です。日本学生支援機構の奨学金などと併せての簡単な紹介は上の「大学院紹介」の中の項目「学修・制度」をご覧ください。
- 「まさか」のときに対応する奨学金制度:定期採用の奨学金制度のほかに、急な経済環境の変化によって生じた経済的困難の救済を目的としたしくみもあります。簡単な紹介は上の「大学院紹介」の中の項目「学修・制度」をご覧ください。
- 旅費の助成制度:研究成果を学会などで発表することを奨励するために、発表に伴う旅費と参加費の助成制度があります。玉川大学が提供するものと、玉川大学・玉川学園の学友会が提供してくださるものがあります。国内はもちろんのこと、国際会議での発表のために外国に行く必要がある場合にも対応しています。
- 就職活動の支援:就職アドバイザーが学部の就職担当者と連携し、就職情報の提供や適切なアドバイスを行い、毎年100%の就職内定率を早期に実現しています。
様々な支援体制
- ティーチング・アシスタント制度:大学院生が大学や大学院の授業の補助や学修上の相談などをする制度をティーチング・アシスタント(Teaching Assistant: TA)制度といいます。修士課程の学生であれば学部の授業の補助や学修上の相談などに、博士課程後期の学生であれば学部だけでなく修士課程の授業の補助や学修上の相談などに従事できます。これは業務として行うことになるため、給与を受け取ることになります。業務内容、勤務時間や給与などの概要は大学院要覧の「玉川大学ティーチング・アシスタント規程」をご覧ください。
- リサーチ・アシスタント制度:優れた博士後期課程の学生や修了生に対して研究支援体制の強化と若手研究者の育成のためにリサーチ・アシスタント(Research Assistant: RA)制度があります。(修士課程の学生は対象ではありません)。業務内容、勤務時間や給与などの概要は大学院要覧の「玉川大学リサーチ・アシスタント規程」をご覧ください。
- 希望に応じた柔軟な体制による支援:在学中に海外留学をする学生もいます。このような将来に向けた前向きな行動に対しては柔軟な体制で支援します。指導担当教員や教務担当教員に気軽に相談してください。
- 学内の相談窓口:学生支援センター、キャリアセンター、教師教育リサーチセンター、保健センター健康院など、生活・奨学金・就職・健康・将来のための相談窓口がいくつかあります。将来に向けてやりたいこと、あるいは悩み事や困ったことがあったら、こうした窓口の利用も検討してみてください。