玉川学園10年生、ロボットクラブ「TRCP」チームが、オバマ大統領に実演披露
アメリカのバラク・オバマ大統領が、4月23日から25日までの日程で国賓として来日しました。24日には、過密スケジュールをぬってキャロライン・ケネディ駐日大使やスーザン・ライス大統領補佐官らとともに東京のお台場にある「日本科学未来館」を訪問し、日本が世界に誇る最先端科学技術であるロボット技術にふれる機会がありました。
この訪問はアメリカ側からの強い希望で実現したことで、日本の未来を支える高校生や大学生ら30人が招待されました。玉川学園の生徒も、「玉川ロボットチャレンジプロジェクト(TRCP)」の10数年にわたる活動から、ロボットクラブ10年生4名とサイエンスクラブ12年生が参加しました。
当日は、オバマ大統領にロボット技術の一端を紹介するにあたり、世界的に有名な二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」のほか、二つのチームが成果を披露することになっていました。そのうちの一つが、今年3月に開催された「ロボカップジュニア日本大会2014埼玉大学サッカー独自リーグ」において全国優勝した4名の「TRCP」チームによるサッカーロボットの実演です。「TRCP」チームは全国優勝した際の自律型ロボット2台と専用コートを持ち込み、実演に備えました。
いよいよオバマ大統領の面前での実演です。「TRCP」チーム4名の自己紹介に引き続いて、紅白戦のスタイルでサッカーを始めました。ロボットが巧みにボールをコントロールしてシュート。ゴールが決まると、大統領はおおいに喜ばれました。その後、大統領に対してロボットの仕組みやプログラミングについて、日本語と英語を交えながら解説しました。すると大統領から「なるほど、君たちはこうやってロボットを作っているけれど、将来はどんな道に進みたいんだい?」と質問がありました。「将来は介護ロボットや手術ロボットなど、医療系ロボットの開発に携わりたい」など、4名それぞれが自信を持って答えていました。その後記念撮影が行われて終了となりましたが、大統領に面会した時間はわずか4分間。短い時間の中で、大統領はたいへん興味深い様子でサッカーロボットの実演と「TRCP」チーム4名との交流を楽しまれたようです。
「TRCP」チームにオバマ大統領の印象について聞いてみると、「周りを動かすオーラのある方だけど、とても気さくに質問してくださりうれしかった」。また、「オバマ大統領の前で実演できたのは光栄です。ロボットを通じてグローバルな活動につながっていることを実感しています」。「『TRCP』チームは、新たなサッカーロボットのリーグに参戦予定です。この機会を励みに新型ロボットの製作に取り組み、世界大会優勝を目指します」と力強く語り、アメリカ大統領に活動の成果を披露するという稀な機会が、メンバーたちのやる気に大きな影響を与えたようです。
引率した英語科の有川先生からは、サッカーロボット実演でのさまざまなエピソードをうかがうことができました。本番前には、日本科学未来館の毛利衛館長や宇宙飛行士の野口聡一さんと記念撮影する場面もあったそうです。さらには実演の際にセキュリティーの関係上で、大統領にロボットなどを触っていただくことは厳禁とされていましたが、サッカーロボットの仕組みを説明していると、大統領が突然ボールを手に取ったのです。
「このハプニングに大統領一行や私たちの間にただならぬ緊張がはしったのですが、大統領は大変感心した様子でしげしげとご覧になっていました」(有川先生)
今回の実演について、当初玉川学園をはじめとするいくつかの高校の理科関係クラブに対して活動資料や動画の提出の依頼があったそうです。有川淳先生によると、玉川学園からはロボットクラブ「TRCP」チームの活動のほか、3月に行われた「ロボカップジュニア日本大会2014埼玉大学レスキューB」で第4位を獲得した「Atlantis」チームのレスキューロボット制作活動についても提出しています。
「22日に現地でリハーサルがあり、玉川学園の2チームのほかにもいくつかのチームが呼ばれていました。大使館員から『実演の実施は確約できない』とまで言われていたのですが、当日になってみると実演する部屋にいるのは『TRCP』チームだけで、実演もできたことに驚いています」(有川先生)
結果、今回のオバマ大統領の来日に際し、研究成果を持参し披露・紹介した唯一の学校となりました。これについて有川先生は次のように話しています。
「『TRCP』チームはレゴマインドストームによるロボット制作から発展して、1年かけて自律型ロボットを制作し、全国大会で優勝できるまで成長しました。しかし、この成果だけでなく、玉川学園ではNASAの長官による講演会の開催や、公民科授業の一環でアメリカ大統領選挙に合わせて実施した大使館での模擬選挙参加など、さまざまな取り組みから総合的に判断してくださったのでしょう。この稀な機会で得られた、目標に向かって努力すること、地道に取り組んでいくことの大切さを、これからの学びに活かしていきたいと考えています」
玉川学園の教育をよりいっそう豊かなものにする、たいへん栄誉ある機会に巡り合えたことを感謝し、ご報告します。