TSCP(Tamagawa Sustainable Chemistry-powered-vehicle Project)
これまでに、玉川学園では「ソーラーエネルギーの有効活用」を基本テーマとして、その利用技術の研究に取り組むことを目的に『Tamagawa Solar Challenge Project』(TSCP)を発足させました。1997年からソーラーエネルギーの有効利用を目的としてソーラーカーを開発して国内外のレースに出場しています。
2003年にソーラーカーの安定した走行を目指し、水素燃料電池と太陽電池を組み合わせたハイブリッド・ソーラーカー「アポロンディーヌ号」を試作し、世界で初めてハイブリッド・ソーラーカーによるオーストラリア大陸横断4,000km走破を成功させました。さらに2008年には廃糖蜜を餌とした水素菌によるバイオ水素発酵を行い、水素をバイオマス生成しました。その水素を使って、燃料電池でモーターを駆動して走る4輪2人乗り水素自動車の試験走行に成功しました。2016年からはマグネシウムをエネルギーキャリアとして利用することを目指してマグネシウム空気電池を搭載したハイブリッド・ソーラーカーの研究を進めています。
今後、社会を支えるエネルギーについて考えるうえで、エネルギーキャリアの重要性は高まってきています。2016年にプロジェクト名を『Tamagawa Sustainable Chemistry-powered-vehicle Project』(TSCP)として、水素やマグネシウムなどの再生可能エネルギーや資源循環型エネルギーを有効利用したエネルギーキャリアとその利用ついてさらなる研究・開発を進めます。
- マグネシウム空気電池で、マグネシウムを再生可能エネルギーをはじめ余剰エネルギーや未利用エネルギーで再精錬して資源循環型エネルギーとして使用する「Mg循環」
- 余剰電力による電気分解水素とCO2を組合せギ酸を合成し、液化して使用時に水素へ改質する「CO2循環」
TSCPは1997年から2019年までの計22回にわたり、JISFIC/WSR(全日本ソーラーカー&FCカーチャンピオンシップ/ワールドソーラーカーラリー)に出場し、これまでにJISC/WSR、JISFC通算15回の優勝、7回の総合優勝し、燃料電池とソーラーカーを組み合わせたハイブリッド・ソーラーカーでは、9連覇を達成しました。またその活動の場は、新技術によるレース出場だけではありません。各種展示会への出展や出張授業、講演活動なども精力的に行っており、再生可能エネルギーの有効利用を通じて児童・生徒・学生に環境問題やエネルギー問題と向き合う機会を設けています。
今後も研究・開発や活動を通じて、多角的な視野に立って問題解決に取り組むことができる実践的な学生の育成を推進していきます。